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第5号配信「秋の党首選挙にむけて提言を公表しました」(2006.3.14)
第5回配信「秋の党首選挙にむけて提言を公表しました」

3月8日午後、21世紀臨調の西尾勝代表、曽根泰教主査、飯尾潤主査は東京・キャピトル東急ホテルで記者会見をおこない、緊急提言「政権公約時代の党運営〜秋の党首選挙にむけて」を公表しました。

昨年の総選挙で国民の圧倒的な支持を得た小泉首相は自民党総裁任期の満了を理由にわずか1年余りで退陣。一方、民主党は昨年の総選挙で大敗し、今国会では目を覆いたくなるような
混乱。今秋の自民党、民主党の党首選挙は様々な意味で今後の日本政治を占うきわめて重要な選挙になりそうです。

党首選挙は党内の指導体制を立て直し、政党としての方向性や一体感を作り上げる最大の
チャンスです。この意味で私たちは、今秋に予定されている両党の党首選挙は「誰を選ぶか」と
いう問題以上に「どのように選ぶか」がきわめて重要であり、それこそが最大の争点であると
考えています。

日本政治は2003年の総選挙から政権公約(マニフェスト)が導入され、政権選択の時代を迎えました。そして、総選挙は政権掌握をめざす政党が首相候補、政権の枠組み、政権公約を示し、国民に政権の選択を求める場へと生まれ変わりました。

政権公約は政党と国民の契約です。総選挙で勝利し政権を獲得した政党には、国民に約束した政権公約を実行するために、首相を中心に責任ある内閣与党体制を構築し、官僚機構に対しては政権公約を具体化するための明確な目標を与え、国会等を通じて説明責任を果たしながら日々の政権運営に取り組むことが求められます。

このように、政党が総選挙を出発点として政権公約を実現するためのサイクルを確立するには、総選挙以前に国民に実行を約束する「政策」とその実現に責任をもつ「リーダー」との関係を党内できちんと整理しておく必要があります。

要するに、政権公約が導入され、総選挙で国民に政権の選択を求める時代に突入したことによって、党内において政権公約をどのように策定し、その実現に責任を負うリーダーをいかに選ぶかという党内の合意調達過程そのものが本格的に改革の対象となる時代を迎えたのです。

私たちは、今回の提言で4つのことを提案しました。

第1点目は、両党の党首選挙における「党首マニフェスト」の導入です。総選挙は政権公約とともに首相候補を選ぶ選挙ですから、首相候補を掲げて総選挙に臨む政党は「党首」と「政策の大枠」がセットで選ばれる仕組みを確立する必要があります。

そこで今回の党首選挙にあたっては、政権公約に実質を与え、党首を中心とする党内指導体制を確立するためにも、党首選挙に臨む各候補者は党首として実現をめざす政策内容や実行体制を「党首マニフェスト」として公表してはどうか。そして、党首選挙の結果、勝利した候補者のマニフェストを政策の大枠として、次の総選挙における政党の政権公約が策定される手続きを定着させるべきではないかということを提案しました。

昨年8月、郵政民営化法案の参議院否決を受けて衆議院が解散され総選挙に至ったその根本原因を辿ると、自民党内における合意形成過程において政権として実現すべき政策とリーダーとの一体性が最後まで確保されなかったことに行き着きます。

小泉首相は2003年秋の総裁選で「私が総裁に選ばれたならば、私の進める政策が党の公約となる」と明言し、総裁に再選後、小泉首相主導で自民党の政権公約を策定しました。そのこと自体は画期的でしたが、政権公約の表現が若干曖昧であったことや、総選挙で掲げた政権公約が新内閣の方針となった後においてもこれに従おうとしない議員が後を絶たなかったことが昨年の混乱につながったことは否定できません。

第2点目は、党内における意見集約や政策論議のあり方の見直しです。政権公約は政党の日常的な政治活動の中にしっかりと位置づけられることによって初めて機能します。ところが、わが国の場合、政権公約がどのようなプロセスで作成されるのかが国民に分かりにくいうえ、党大会などはあまりにも形式化し、祭典化しています。

そこでこの際、党大会のあり方を根本的に見直して党内合意形成過程の各段階を踏まえた目的別の活用を検討してはどうかと考えています。例えば、@国民に開かれた全党的な政策論争を通じてその時々の党内意見を再確認するために開催するもの(政策討論集会)、A政策本位の党首選挙を実現して、党首と政策の大枠の選択を公開の場で行なう目的で開催するもの(党首選挙の実質化)、A総選挙に向けて政権公約を策定・確認するために開催するもの(政権公約の確定・確認)など。

本年秋の党首選挙はこうした新しいプロセスを確立するためのチャンスなのですから、自民党、
民主党は党首選挙の告示以前に(通常国会閉会後の7〜8月など)、数日間または1週間程度の時間をかけて臨時党大会(政策討論集会)を開催し、国民に開かれたオープンな場で全党的な
政策論争を行う仕組みを考えてはどうでしょうか。

例えば、政策分野別の分科会を開催して、現執行部が論点整理や問題提起を行い、それを叩き台として甲論乙駁の政策論争を行う方法も魅力的です。党首選挙はこうした党内論議が経た後に告示され、立候補者はこれまでの論争を踏まえて、それぞれの「党首マニフェスト」を公表するというプロセスを確立すれば、その位置づけもより明確になります。

第3点目は、党首選挙の運営方法です。党首選挙が告示され選挙に突入したならば、あらゆる機会を活用して「党首マニフェスト」を軸に党首候補者同士による「マニフェスト型討論会」を開催することを提案します。なお、党首選挙は国政選挙と異なり公職選挙法の適用を受けないわけですから、自民党と民主党には、ITの積極的な活用や対決型討論の実現など意欲的な実験を試みてもらいたいものです。

そして、党首候補同士の本格的な政策論争を通じて党首と政策の大枠が一体的に選択された後は、全党的な合意形成にむけて新党首を軸に徹底的な政策調整を行なうなかで新しい政権公約の策定に向かう必要があります。その結果、確定した党の政権公約については、全員一致してこれに従うという党内ルールもしっかりと確立しておく必要があります。

第4点目は、候補者が党首マニフェストで掲げるべき論点の明確化です。ことに自民党総裁選は小泉首相が総裁任期満了を理由に退陣する中で行われ、事実上、後継首相を選ぶ選挙となります。そこで、自民党総裁選の立候補者には、それぞれの党首マニフェストに次の諸点について明らかにする責任があります。

@昨年の総選挙で国民に約束した自民党政権公約についての態度(ア.基本的に継承するのか否か。イ.修正や新たな政策の追加が必要か否か。ウ.今後の政策展開や具体化のポイントなど)。

A責任ある政治主導体制を構築するための内閣や与党の運営方針(ア.組閣などにおける任用方針、イ.内閣と与党の関係、ウ.経済財政諮問会議の位置づけなど内閣の運用や官僚機構との関係など)。  

B次の政権公約策定の大枠となるような今後の国のあり方に関わる政策の基本方針(ア.外交・安全保障の基本姿勢、イ.財政再建の道筋、ウ.公務員制度改革をはじめとする行政改革、エ.「三位一体改革」をはじめとする地方分権改革、オ.年金制度改革をはじめとする社会保障制度改革、カ.国民投票法案をはじめとする憲法改正問題など)。

一方、民主党は昨年の総選挙で大敗し、今国会の混乱に終止符を打って次の総選挙に向け
て党勢を立て直さなければならない立場にあるわけですから、民主党代表選挙の立候補者
は昨年の総選挙を改めて総括したうえで、民主党がめざす日本の将来像やそれを支える政
策体系の大枠を描く必要があります。

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提言は記者会見当日、自民党の武部勤幹事長、中川秀直政調会長、民主党の仙谷由人幹事長代理、玄葉光一郎幹事長代理に手渡されました。

提言を読んだ中川秀直さんは、「傾聴に値する提案だ。私なりに検討してみたい」「改革継承なのか、成長加速なのか、国のあり方の問題の路線論争はしっかりやっていくべきだ」「リーダーが選ばれたら、政権与党一丸となって政権マニフェストとして実行していくことが重要」「政策討論会は執行部と相談してどういう方法でできるか考えてみたい」と報道陣にコメントしました。

また民主党は鳩山由紀夫幹事長談話を公表し、「民主党として、今般の21世紀臨調の問題提起を歓迎するとともに、その問題意識を共有する」「本年9月の代表任期の満了を迎えるに際しては、全国の党員・サポーターはもとより、幅広い国民に対して明確なかたちで基本政策を示し、熱く厚い議論のなかでその信を問うことによって、代表選出が行われるよう努力する」とコメントしました。

繰り返しになりますが、今秋の党首選挙の最大の争点は「誰を選ぶか」よりも「どのように選ぶか」です。私たちも、両党の党首選挙を国民にとって意義あるものとするために、そろそろ具体的な計画を練らなければならないと考えています。

                               (前田 和敬)



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