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統一地方選でローカル・マニフェストが配れない?(2007.02.02)
本年は統一地方選挙の年ですが、政策本位の選挙が求められながら、このままではローカル・マニフェストは頒布できそうにありません。首長選挙において、候補者の政策を記載したビラを解禁するための公選法改正が難航しているからです。

ローカル・マニフェストの頒布解禁については、自民党、公明党、民主党とも異論はありません。ないにもかかわらず難航しているのは、対象が首長の選挙で国会議員にとってはいささか他人事であるという背景に加え、公明党がセットで国政選挙でのマニフェスト頒布のさらなる規制緩和(具体的には街頭頒布の解禁)を求めており、この点に関する自民、公明の与党間調整が難航しているという事情があります。

ビラに証紙を張る作業をともなうため、公選法を改正するための法律の成立は2月15日〜20日あたりがタイムリミットです。今回の統一地方選に間に合わせるためには、まさに今がギリギリの段階といっても、言いすぎではありません。

公明党が主張している街頭頒布の解禁はそれ自体きわめて正論で、21世紀臨調も過去の提言で主張してきた内容です。各政党のマニフェストが等しく有権者に伝わる機会を保障するとともに、有権者が手軽に入手できる環境を整備するのは当然のことで、有権者にとっても、そのほうが良いに決まっています。

簡単に経緯を振り返ります。2003年総選挙を日本初のマニフェスト選挙とするためには、マニフェストの頒布を可能にするための公選法改正をどうしても実現する必要がありました。そこで、21世紀臨調が提言を公表し、各党に働きかけて超党派の政権公約議連が組織され、議連が中心となって2003年総選挙に間に合わせるための法改正を実現しました。

しかしそれは、総選挙に間に合わせるための緊急改正であったため、改正内容は必要最小限に絞られました。例えば、政党の作成したマニフェストの頒布は、政党の選挙事務所内、演説会場、街頭演説の場所に限られました。

その結果、政党のマニフェストを党本部や支部では入手できないという珍妙な事態が起きました。政党の小選挙区候補者がいない地域ではマニフェストの頒布機会が大幅に制約され、候補者の擁立状況によっては、有権者がマニフェストを入手する機会に差が生じるという事態も生まれました。

また、当面の国政選挙をマニフェスト選挙とすることが最優先課題であっっため、首長選挙は手付かずのまま残りましたし、IT選挙の実現も置き去りにされました。

そこで、2003年の総選挙終了直後から、@国政選挙におけるマニフェスト頒布のさらなる規制緩和、A首長選挙におけるローカル・マニフェスト解禁、BIT選挙解禁の3点を速やかに実現する必要性が政権公約議連でも確認され、21世紀臨調や全国知事会も数次にわたってさらなる法改正を主張してきたのです。

ことに、2003年総選挙の法改正では、各党に機会平等となる街頭頒布の実現を求めていた公明党(21世紀臨調の提案も「マニフェストの制約なき頒布」で趣旨は同じでした)に対し、緊急改正を総選挙に間に合わせることを最優先に考え、自民党の党内事情にも配慮し、あえて公明党に譲歩してもらう形で改正案がまとめられた経緯があります。

従って、公明党からすれば、この問題は03年以来の懸案事項であり、ローカル・マニフェスト解禁という今回の機会を逃せば、またいつになるかわからないという思いがあります。

問題は、そうした政党間調整に巻き込まれて首長選挙におけるローカル・マニフェストの解禁自体が今回先延ばしになることです。先延ばしになれば、4年後の統一地方選挙まで本格的なマニフェスト選挙は待たねばなりません。

両党は昨年秋以来、与党公選法PT(自民座長は鳩山邦夫さん、公明座長は東順治さん)で調整を重ねてきました。昨年12月20日の自民党選挙制度調査会では、公明党側の意向を踏まえ、新たに各小選挙区で1箇所、頒布場所を追加する改正案をまとめています。

しかし、今のところ公明党とは、その案では合意できていないと聞いています。自民党の問題か、公明党の問題かはこの際、論評しませんが、迷惑をこうむるのが首長選の候補であり、有権者であることだけは明らかです。

実は、21世紀臨調が昨年9月15日に自民党総裁選出馬の3候補を招いて「政策本位の党首選挙推進大会」を開催した際、出席した安倍晋三候補は主催者側が提出した公開質問に応える形で、ローカル・マニフェスト解禁にむけた公選法改正に対し、「首長選挙こそマニフェスト。改正すべきだ」と、明確に賛成しているのです。

従って、ローカル・マニフェストの解禁は安倍さんの総裁選における公約であり、当時多くの関係者が「これで改革は加速する」と大いに期待したものでした(安倍さんの発言内容は、この21世紀臨調のホームページHPに掲載した大会映像でご覧ください)。

昨年の総裁選以降、政権公約議連は法改正を今回の統一地方選に間に合わせるよう各党に要請してきました。また、全国知事会やローカル・マニフェスト推進団体も同様の要請を続けてきました。21世紀臨調はこれらの活動を支えつつ、各党間の合意形成を促すために様々な努力を重ねてきました。

地方分権が叫ばれ、自治体の自己改革が求められている時代です。しかしそれを成し遂げるためには、基点となる選挙から変えるしか方法はありません。

しがらみの選挙から脱却し有権者が候補者の掲げる政策で選んでこそ、その候補者は有権者の信認(マンデート)を背景に、文字通り、政治主導で有権者との約束を進めることができるのだと思います。

当事者の首長には公選法を改正する権限はありません。これは、与野党を超えて立法府たる国会全体の責任問題だと考えます。ここ数週間の国会を注視したいと思います。

                                  (前田和敬)



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