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  立ち位置を変えて     (2005/6/22)
政治家、官僚、そして民間企業で働く人々は、皆それぞれの立場で日常の努力をしてきた。
しかし、ITによってユビキタスな社会が到来したことで、それだけでは間に合わない時代になったのではないか。トップに立つ人は、非日常の成果と言うべき価値の転換、「立ち位置」を変えることによる新しい価値の創造をするべきだと考えている。

皆さんにお聞きしたい。選挙期間中の経歴放送を疑問に思ったことがあるだろうか。
経歴とは、「家柄が良く」「良い大学を出て」「大企業に勤めた」ということであって、政策について
ではなかったのである。身振り、手振りはいけない、パネルを使っての説明も出来ない、有権者に分かっていただこうと言う努力のまったくない経歴中心の放送をしてきた。

もう一つお聞きしたい。「北川でございます、北川でございます、命がけで頑張っております、
お父さんを助けてください」と言う選挙期間中の“連呼”を、日曜日の朝にふさわしいBGMであり、あれこそ民主主義を支える最たる制度であるとお考えの方はいるだろうか。そのようにお聞きすると、その場で笑いが起きる。「選挙とはそんなもんだ」という思い込みによって今まで選挙が行われ、誰も変えようとする努力は行ってこなかった訳である。

私は9回選挙を行なってきた経験上、白い手袋をはめ、朝早くから自分を褒めまくるような連呼は、行う方も非常に恥ずかしいと思っていた。これは何より選挙制度がそうさせてきた。中選挙区制度の中では、同じ自民党の候補者と戦わなければならない、政党の方針は同じである以上、その中で差をつけるためには、自分を褒めるしか方法がなかったのである。

選挙の公約についても「そんなもんだ」と言う思い込みの中で「選挙までの公約」「選挙のための公約」と思っていた有権者は多く、公約を信用してはいなかった。従来の選挙公約とは自分の後援者や利益団体等、いわばtax eaterに対する約束に過ぎなかった、有権者に対しては苦い薬になるようなことは隠し、誰からも好かれるようなことだけを並べ、拡大成長を図ることの約束をもって選挙公約としてきたのが実情だろう。

これでは体系的な約束にはならないのが当然である。従来から、選挙には「地盤、看板、カバン」が必要だと言われ続けてきた。選挙制度を本質的に変え、選挙公約を守るべき約束に切り換えようという運動が起こらなかったと言う認識に立ち、守るべき約束にすることをマニフェストという言葉を用いて提唱した。

守るべき約束か否かの判断の1つは、体系だっているか否かということである。「あれも、これも」から「あれか、これか」に切り換え、「あれ」を実現するために「これ」をカットするという形で体系だっていなければならない。

もう1つの判断基準は事後検証可能か否かである。そのために、理念・達成目標を明確に示すとともに、それを達成するための手段、期限、財源を明示することが必要で、1年後、2年後、あるいは4年後に実現状態を確認出来るようにすべきである。

戦後60年にわたって1つの体制が続くと、さまざまな場面で「そんなもんだ」という習慣、通念、
思い込みによって支配されるようになる。誰も「立ち位置」を変えて公職選挙法あるいは選挙制度を変えようとしなかった。これでは、政治を変えることも、行政を変えることもできない。連呼を批判する前に公職選挙法を改正しなければならない。私は、全ての面で「立ち位置」を変えて、気づくことが必要だと考えている。
■北川正恭  略 歴■
1944年生まれ。1967年早稲田大学第一商学部卒業。1972年三重県議会議員当選(3期連続)、1983年衆議院議員当選(4期連続)。任期中、文部政務次官を務める。1995年、三重県知事当選(2期連続)。「生活者起点」を掲げ、ゼロベースで事業を評価し、改革を進める「事業評価システム」や情報公開を積極的に進め、地方分権の旗手として活動。達成目標、手段、財源を住民に約束する「マニフェスト」を提言。2期務め、2003年4月に退任。現在、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)代表。

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