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神吉信之のロカマニ日記
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ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州代表として奮闘中の神吉信之さんのコーナーです。神吉さんは福岡在住のジャーナリスト。「ローカル・マニフェストを片手に日本を変える」。そんな思いを胸に、九州各地で公開討論会を仕掛ける神吉さんの日々を日記風にご紹介します。公開討論会のエピソードや神吉さんの仲間たちも登場します。
 はじめまして神吉信之です。 (2006/8/25)
私が21世紀臨調の前田和敬さんと出会ったのは、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州の結成大会の夜でした。いまから1年と半年前のことです。

それは、博多駅近くのもつ鍋屋の2階でした。雑誌「ガバナンス」副編集長の千葉茂明さん、東京新聞政治部記者の金井辰樹さんもいましたが、鍋の中のもつに舌鼓を打ちながら、お互いの心意気を確認したのが思い出されます。

前田さんとは会ってすぐ志を同じくする「同志」と感じました。「草莽崛起」(そうもうくっき)を志に、政治改革に邁進することを誓い合った夜でした。(草莽は在野=民衆の中、崛起とは起き立つことを意味します。草莽崛起とは、身分を問わず、在野の志ある者たちが新しい時代を築くために立ち上がることをいいます。)

いま私は九州でローカル・マニフェストに取り組んでいますが、マニフェスト運動は日本を地域から変革しようという政治改革運動であり、「平成の草莽崛起」だと考えています。

これまで九州では青年会議所の理解と協力のお陰で計19回ものマニフェスト型討論会が実施されました。今年は評価・検証大会も大川市と佐賀県で予定されています。まさにマニフェスト・サイクルを回天させていくわけですが、このコラムでは、そうしたお話しや、これまでの経緯などを皆さんにお知らせすることで、少しでもマニフェストの普及に貢献できればと思っています。

その前に私のことを知らない方へ。本業はジャーナリストで、福岡生まれの生っ粋の博多っ子です。高校3年の時に生徒会長をしていて、入学式の時に在校生へ喝を入れるスピーチや学校批判をしたことで、物議をかもし出したことがあります。

今を思えば、「おかしいと思ったことは口に出して言う」という性格が今の職業や政治改革へ私を導いたのかもしれません。それと何といっても渡米経験が、私を人間として成長させ、歩むべき方向性を見出すきっかけになりました。

私が最初に通った大学はサンフラン・シスコ近郊のカリフォルニア大バークリー校といって60年代のヒッピー文化の発祥地で知られています。アジア系の学生が約25%、約40%が欧州からの留学生で、世界の大学といっても過言ではありません。

日本の大学と比べ圧倒的に多いレポート、プレゼンテーションをしなければならない場面が多く、また、ディスカッションは授業のみならず、日常生活の場でもしばしば行われます。そういう状況に身を投じていると、自ずと広角な視野が身につきます。同時に、日本の社会に関して大きな疑問を持つようにもなりました。

私が留学していた頃のアメリカは大恐慌以来の不況でした。失業率は10%を越え、財政赤字、貿易赤字、企業赤字の「トリプル赤字」を抱え、アメリカ経済は危機に瀕していました。一方、日本はバブル最盛期で、わが家の春を謳歌(おうか)していました。それでも、私は日本よりアメリカの方がより豊かであると感じられました。

毎日最低でも、5人の起業家が年棒100万ドル以上稼ぎ出すようなミリオネアになる。1年前までは学生、エンジニア、セールスマンだったのに、です。日本にも1日何人ものミリオネアが誕生したことはありましたが、彼らは起業家ではなく、株、土地の取引で儲けた単なる「泡」のような人種に過ぎませんでした。その違いを感じていたのかもしれません。

要するに、日本の社会にはダイナミズムがないのです。多くの日本人は、日本は民主主義国家だと考えていますが、社会にダイナミズムがなければ、民主性などあり得ません。

仕事をしながらアメリカ社会をもっと見つめ、いずれ日本でその経験を活かした仕事をしたい、そう思って、大学院でジャーナリズム学科を専攻し、卒業後、新聞記者としてアメリカ社会を見つめることにしたのです。

ちょうどその頃、アメリカは再生に向けて躍動していました。再生の要素として、「ダイナミズム」「民主性」「オープン性」を挙げたいと思いますが、民間活力によるものが大きいと思います。

自治体破綻を招いたピッツバーグを再生したのも、企業やNPOの力でした。バークレーを無秩序で犯罪が多い都市から救ったのも、そうでした。サンフラン・シスバークレーコのベイ・エリア再開発計画も、そうでした。アメリカで私が見た光景は、私に「日本は民主主義国家と言いながら、その実体は官主導の社会主義国家」であることを教えてくれました。

そろそろ帰国しようと思ったのは、渡米から16年後の1996年の暮れでした。さて何をするか。偶然、香港返還を題材にした本を書くことになり、翌年は香港、台湾、中国へ、取材と原稿書きの日々を過ごすことになるのですが、とりわけ、香港取材で出会った港民主派の旗手達、全香港市民連合会(天安門事件支援団体)主席の司徒華(セト・ワ)氏やフロンティア(前線)主席のエミリー・ラウ女史らの香港民主化にかける熱き想いに触発されたこともあり、選挙や政治に興味を抱くようになりました。

そして、日本初の選挙情報専門サイトElection.との関わり。サイトの管理運営者は30歳代前半のIT関連企業の若き経営者。いまでこそ、選挙関連のサイトを検索すると数多くヒットしますが、当時は全くありませんでした。

居酒屋トークや国会議員に直接メールを送ることができる検索ツールなど、ユニークな企画を立案しては若者達への政治関心を集めていきました。私は彼らの若い力に期待を寄せ、協力者として選挙専門のラジオ番組やテレビでの公開討論会を一緒に仕掛けていきました。

私たちの想いは「連呼中心の選挙から政策へ」。投票の際、有権者に政策によって判断ができるような機会を増やしたい、ということでした。その点において、その姿勢は現在のマニフェスト運動と何ら変わりがなく、私を市民の立場からマニフェスト普及へと駆り立てているのだと思っています。

                               (次号に続く)

 ■略 歴■
 神 吉  信 之(かんき のぶゆき)
 1957年11月4日生まれ、福岡在住のフリー・ジャーナリスト。
 米国スタンフォード大大学院ジャーナリズム学科修了。
 元北米毎日新聞サンフランシスコ支局記者。
 現在は、福岡県在住で、選挙情報専門サイト「Election」の
 コラムニスト、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州
 代表、ラジオ、テレビの選挙・政治専門のコメンティター、
 NPO活動等幅広い活動を行っている。
 著書に、『21世紀の日本人たちへ・・・』(文芸社)など。
 < 専 門 > 政治、選挙、公共政策・経営、NPO、まちづくり、地域通貨

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