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神吉信之のロカマニ日記
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ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州代表として奮闘中の神吉信之さんのコーナーです。神吉さんは福岡在住のジャーナリスト。「ローカル・マニフェストを片手に日本を変える」。そんな思いを胸に、九州各地で公開討論会を仕掛ける神吉さんの日々を日記風にご紹介します。公開討論会のエピソードや神吉さんの仲間たちも登場します。
 「長崎県初のマニフェスト型公開討論会を開催しました(2)」 (2006/10/10)
9月10日(日)、3回目の大村入り。いよいよ今日は討論会当日。午前11時に博多を出て午後13時に大村駅に到着。開会時間は午後18時半ですが、社団法人青年会議所九州地区長崎ブロック協議会主催の「マニフェスト勉強会」に講師として呼ばれ、午後14時に会場入りしないといけないからです。

実はこの勉強会はブロック大会の分科会として予定されていましたが、開催地が五島列島の福江だったため、2度も台風の影響を受け延期され、今回開催する運びとなったのです。

約2時間かけて、ローカル・マニフェストとは何か?導入背景と経緯、意義、効果など、ローカル・マニフェストの基礎を話した後、マニフェスト型公開討論会、評価・検証について話しをしました。

ところで、皆さんの中には、マニフェストを候補者が書かないとマニフェスト型公開討論会は実施できない、と考えている方もいると思います。私が関わってきた20回のマニフェスト型公開討論会も、本格的なマニフェスト作成を候補者に要求していたら、その大半は成立しなかったかもしれません。候補者の多くの本音は、「そんな面倒なもの、できれば書きたくない」だからです。

そこで、苦肉の策として考え出したのが、新聞紙面などで「九州方式」と紹介されているB4サイズの表裏の統一フォーマットに最重要項目などを書いてもらうという手法です。

「マニフェスト型公開討論会への参加を願いします」「つきましては普通の討論会と違ってマニフェスト型ですから、このマニフェストの統一フォーマットを作成してください」「それに乗っ取って討論をします」という感じです。

日本でのマニフェスト運動は緒についたばかり。現状と睨めっこしながら、理想へと一歩一歩近付けていければと思います。

マニフェスト型公開討論会を通して、マニフェストの作成方法やローカル・マニフェスト導入の意義を理解してもらう。マニフェスト学習の場となれば、と思います。

さて、勉強会ですが、急きょ開催されたので、参加者は約50人ほど。少数でしたが、逆にそれが幸いしてか、来年の統一地方選のマニフェスト型討論会開催に向けて、活発に質問がなされました。

例えば、
Q. 「マニフェストは現職と比べ、思い切った数値目標などが書けるので、新人が有利なのでは」

A. 「だからこそ、公開討論会を開く必要があるわけです。まず、マニフェスト作成の段階で余りにも裏付けがないような数値目標は注意しますし、公開討論会でもその妥当性について問われることにな ります」

Q. 「社会情勢の変化でマニフェストの中身を変えないといけない場合もあると思いますが」

A. 「そのための評価・検証の機会で、その場合は説明責任を果たすためにも、どういう状況なのか、きちんと説明してもらうことになります」

午後16時半、勉強会終了。午後18時半、討論会スタート。市民約280人が参加。参加人数は過去一番少なかったですが、これは今回数少ない実行委員で運営していたので、広報不足は否めません。でも、長崎初ということもあってか、マスコミはほぼ全社取材に来ていましたので、彼らが討論会の内容を広く伝えてくれる筈です。

最初に主催者挨拶。続いてパネリスト(候補表明者)と私が紹介されて壇上へ。霧島市長選で地元TV局がローカル・マニフェストに関して放映した約4分の特集が分かりやすくコンパクトにまとまっていますので、そのDVDを流す。私からローカル・マニフェストの意義を話す。司会がルール説明をし終えたら、いよいよ討論会がスタートします。

下記簡単に討論会の流れを作るための私のメモ書き(これをもとにPTを作成して、当日は数値データなども含み投影し、来場者に市の現状を伝えてから討論へ入ります)と両者の目立った政策の違いを書きますので、少しでも雰囲気を味わって頂ければと思います。
詳細は下記の主催者HPからご覧になれます。来場者からのアンケート結果も公表されています。
http://blog.goo.ne.jp/lm-omura/

(1)中・長期的なビジョン

1.「競艇と福祉のまち」としての顔はどうなる?繰り入れ金(総額570億円)で高福祉政策を維持できたが基金の切り崩しも。今後も高福祉政策の継続は可能か?

2. 競艇事業の行方

@ 経営形態は「直営」か「民営委託」か?
(現職の松本氏は昨年度黒字化した点を強調し、これまで蓄積されたノウハウを活かして市直営の継続を主張。一方、新人の野口氏は民間委託を主張。コスト面からも経営的な面からも自由な発想ができると述べました)。

A 合併構想は?「単独」か「合併推進」か?
(野口氏は企業誘致を進める上で課題となっている工業用水問題を解決するためにも、河川が3本もあり水資源豊かな東彼杵町との合併推進を主張。松本氏は、まずは本市の財政再建が先、合併は足腰が強い自治体になってからと慎重です)。

  
(2)テーマ別
1.「行財政改革」
@ 財政再建への道筋は?
(2011年には累積赤字が40億円に達し、このまま推移すると、2012年には国の管理下に置かれる「準用財政再建団体」になります。平成16年度の経常収支比率=一般財源収入に対する義務的経費の支出割合は93.3%ですが、都市では76%程度が妥当です)。
 
A 経費削減策
(人件費・経常コストをどう押さえるのか?公共事業・事務事業の見直しは?外郭団体や公共施設関連の管理・運営の見直しは?)
 
松本氏は、予定されている第4次行革を進め、事務事業の選択と集中で5年間で48億円の削減を断行すると主張しました。野口氏は、市長報酬20%、職員給与総額15%以上削減で合理化を進めると主張。事務事業の見直しに関しては、松本氏が政策評価システムでの見直し、野口氏が職員担当制を敷き福岡や宗像が先駆的に行っている協議会からの意見などを集約するようなイメージを持っていました。
 
B 市立病院の経営再建問題
(累積赤字69億2千万円を抱え再建の道筋は?現状は高度医療を提供する国立病院機構長崎医療センター他、民間病院が多い医療機関の激選区です。存続か廃止か?存続であれば、他病院との隅分けは?医療費の大部分を占める人件費対策は?経営形態は?)
 
C 庁内改革
(意識改革と組織改革などの具体策)
 
D NPOなど市民力の養成などの具体策
 

2.「地域経済活性化策」
@ 企業誘致策
(企業誘致の戦略的展望は?ハイテクパークはコマツ電子金属などで分譲率ほぼ100%。オフィスパークは分譲率64%で20人程度の作業所が目立ちます。課題は、工業用水問題で大きな企業が入ってこない)。
 
A 新幹線を活用したまちづくり
(駅舎市負担額は20億円〜60億円。プラス周辺整備にかかる費用。経済効果は?新幹線が来ることに「賛成」か「反対」か?「賛成」なら、新幹線を活用したまちづくりビジョンは?都市計画との関連性は?中心市街地開発との関連性は?従来線は?)
 
B ビジターズ・インダストリー(集客力)をどうつけるのか?
(歴史観光立市としての戦略的展望は?日本初のキリシタン大名大村純忠「大村千年の歴史」。大村氏、大友氏、有馬氏の九州のキリシタン三大名が派遣した天正少年使節団の史実がある。課題は、史実はあるが、史跡や歴史博物館のような施設もないことなど)。

3.その他の重要項目「地場産業の育成」「ゴミ問題」「教育その他」
午後21時10分、討論終了。

終了直後に今後のマニフェスト評価・検証のことを候補表明者に約束させる。大勢の市民とマスコミの前で約束させることで、今後の展開がやり易くなるからです。

最後に、候補表明者へ出席してくれたことへの感謝の言葉を言い、主催者へもねぎらいの言葉を言って、拍手で壇上に迎え入れます。

午後21時20分、閉会。

後片付け後、主催者と一緒に円陣を組み、無事終了したことへの健闘を称え「お疲れさま」!その後、きまって私が言う言葉は、「今日がスタートです。来年以降の評価・検証へつなげていきましょう!」大きな拍手が沸き起こり、この時の充実したみんなの顔を見ることが、私の原動力となっています。

午後22時、懇親会スタート。アンケート結果の回し読みをする。寄せられたコメントを読むのが、私の楽しみの一つです。「大変良かった」37%「良かった」35%と、市民からの反応は概ね良好。次への糧として「乾杯!」

 ■略 歴■
 神 吉  信 之(かんき のぶゆき)
 1957年11月4日生まれ、福岡在住のフリー・ジャーナリスト。
 米国スタンフォード大大学院ジャーナリズム学科修了。
 元北米毎日新聞サンフランシスコ支局記者。
 現在は、福岡県在住で、選挙情報専門サイト「Election」の
 コラムニスト、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州
 代表、ラジオ、テレビの選挙・政治専門のコメンティター、
 NPO活動等幅広い活動を行っている。
 著書に、『21世紀の日本人たちへ・・・』(文芸社)など。
 < 専 門 > 政治、選挙、公共政策・経営、NPO、まちづくり、地域通貨

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