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神吉信之のロカマニ日記
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ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州代表として奮闘中の神吉信之さんのコーナーです。神吉さんは福岡在住のジャーナリスト。「ローカル・マニフェストを片手に日本を変える」。そんな思いを胸に、九州各地で公開討論会を仕掛ける神吉さんの日々を日記風にご紹介します。公開討論会のエピソードや神吉さんの仲間たちも登場します。
  「そこに確かなマニフェストがあった」 (2007/2/2)
第6回 更新 「官製談合の根を絶て〜宮崎県知事選マニフェスト型公開討論会報告」
(2007/2/2)はこちら

宮崎県知事選は元タレントのそのまんま東氏(東国原英夫氏)が圧勝しました。タレントから知事になった例は、過去には95年の青島幸男・横山ノック両氏がそれぞれ東京都知事、大阪府知事に、絶対的な知名度をバックに当選したことが記憶に新しいところです。

絶対的な知名度に、しがらみがない。でも、過去の不祥事で叩かれる。失言もあった。「やっぱり、タレントじゃねえ」の声も聞かれました。選挙序盤ではしばしば苦渋の顔が見られましたが、選挙戦が進むにつれ、盛り返し、選挙戦終盤には東国原氏の優勢が伝えられました。

そこには彼が掲げる確かなマニフェストがありました。

東国原氏だけが政策にこだわり、本格的なマニフェストを掲げていました。ただ、これだけでは必要条件にすぎません。選挙序盤でのマスコミ報道は選挙背景に偏重していました。そこに政策論争が巻き起こり、彼のマニフェストの良さが有権者に伝わることで十分条件が整いました。

そのきっかけを作ったのがマニフェスト型公開討論会でした。九州では過去2年間で28回ものマニフェスト型公開討論会が開かれ(福岡県では全27市のうち16市で開催されている)、従来型の地盤・看板・カバンの選挙から政策重視の選挙に形を変えてきています。

福岡県大川市長選や佐賀県武雄市長選では、新人候補がマニフェストを掲げ、しっかりとした政策を訴えることで、ダブルスコアに近い形で当選しています。

今回の選挙では宮崎県では珍しく討論会が公示前に4度も行われました。テレビで2度、市民主催で2度。そのうちの1つが青年会議所宮崎ブロック協議会主催のマニフェスト型公開討論会でした。

共通のフォーマットに、宮崎県の現状、ビジョン、政策の優先順などを記し、重点項目には期限、数値目標、財源を盛り込んだものを書き込んでもらい、それをベースに討論会を行いました。

言いっぱなしの演説会と違って、曖昧な数値目標はその場で精査されます。具体性がなければ、その場で言い直しをさせられ、実現可能なのか、有効なのかなど、政策の中身が吟味されます。

共通のフォーマットなので、各候補の政策の違いが分かります。質問の応答の仕方などで政治家としての資質が計ることができるのです。

東国原氏のマニフェストには、「人件費、公共事業費、事務事業の見直しで350億円の削減」、「新規企業100社誘致10000人の雇用確保」と、数値目標が並んでいます。また、談合防止・入札改革では「コンストラクションマネジメントなどの活用による予定価格積算方法の見直し」など、他の候補より具体策がしっかりと書き込まれていました。

このような政策論争の場を通して、東国原氏の熱弁とともに具体性を持ったマニフェストが徐々に有権者に伝わり、共感を呼んだと思われます。相変わらず政争からくる分裂選挙を余儀なくされた保守層からも、嫌気がさして東国原氏支持が増えだしました。

無党派層は、政党や政策より候補者本人の知名度や魅力で動くと言われています。それらは、必要条件ではありますが、今回に関してはそれが決定打となったとは言いがたいと思います。まして、今回は出直し選挙。有権者の多くはタレント政治家の危うさも知っています。決定打となったのは、そこに確かなマニフェストがあったからです。

敗れた各政党にとって反省すべきは、しがらみを断ち切ることが問われた選挙において、旧態依然とした選挙のあり方ではなく、選挙での土建業との関係を整理し、有権者に新しい選挙の形を示すことができなかったこと、そして談合防止や入札制度改革は勿論のこと、明確な地域ビジョンを掲げた説得あるマニフェストを有権者に示すことができなかったことにあります。

国政において政党不信がなぜ蔓延しているのでしょうか。財政危機の中で、年金・社会保険・医療など、山積する課題に対して、どの政党も有権者である国民が満足できるような、きちんとした解決策を打ち出していないからです。安倍内閣の求心力低下も、閣僚内での不祥事が引き金になったものの、明確な方向性とそれにもとづく政策の中身が国民に見えないからです。有権者が求めているのは確かなマニフェストです。

 ■略 歴■
 神 吉  信 之(かんき のぶゆき)
 1957年11月4日生まれ、福岡在住のフリー・ジャーナリスト。
 米国スタンフォード大大学院ジャーナリズム学科修了。
 元北米毎日新聞サンフランシスコ支局記者。
 現在は、福岡県在住で、選挙情報専門サイト「Election」の
 コラムニスト、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州
 代表、ラジオ、テレビの選挙・政治専門のコメンティター、
 NPO活動等幅広い活動を行っている。
 著書に、『21世紀の日本人たちへ・・・』(文芸社)など。
 < 専 門 > 政治、選挙、公共政策・経営、NPO、まちづくり、地域通貨

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